コレクターズアップデートvol.9

9回目のアップデートです。

日に日にカウントダウンの音が大きくなってきているような感はありますが、着実に一歩ずつ前進・一段ずつ上昇しているという手応えとご支援くださっている皆さまに支えられながら調整を続けています。

今回は、プレビュー公演まで1ヶ月をきった「”complex”の今」をお話ししたいと思います。

物語そのものの状態は、細かい箇所を創っては壊す壊しては創る・・・という作業が続いています。

以前、石曽根が物語創りについて触れていましたが、独り芝居とは思えない程、様々な人物の設定が細かくリアルに積み上げられて紡がれている物語なので、少しでも違和感をもつとそこを起点に下手すると物語の構成そのものを一度壊す、といったことも起こります。

単純計算すると、ほぼ完成している台本なのですが、どうしてもうまく流れていない箇所があり、その部分との戦いといった状態です。

「え?まだ完成していないの?」というご心配の声が聞こえてきそうですが、こうやってギリギリまでもがき苦しみながらの物語創りは、どうやら私たちの流儀のようなものなので、練った分だけ深い物語が生まれてくると信じていただければ嬉しいです。

演劇を含め芸術は、creative(創造的)という言葉が多様されることもあり、どうも感覚的なものと思われがちだと感じているのですが、私が今まで出会った「面白い」作品を生み出す演出家や脚本家は決まって”超”がつく程論理的です。

まるで難しい数学の問題を解いているような脳の使い方をしているような・・・。石曽根はそういう意味では、台本を書く為にExcelとWordを同時に使う論理派だと思います。そして、そんなところまで?という程、細かいところにたくさんの伏線がはりめぐしているので、ご覧いただく方それぞれが独自の感想や物語の答えをもってくださることになると思います。

 

※台本の一部です。観客には聞こえない、面接官イライザのセリフも全て細かく書かれています。実際に面接をしているように見せる為にも、イライザが話す間を正確に取ることが必要なので。

もちろん、前回お話しさせていただいと通り、前半部分の本読み稽古も毎日数時間かけて進めています。

英語版台本の稽古ですが、日本語で稽古を進めるのとはもちろん流れもかける労力も変わってきます。

まずは、自力でどこまで読めるかを確認するところからスタートします。通常の英会話では十分通じるレベルの発音ができていたとしても、舞台で発して伝わる英語の発音には届かないものも多数あるので、そこを細かく修正します。

それと同時に、どこでブレスを入れるか、強弱・間などを入れ込みます。

日本語のニュアンスを伝えながら、「コイズミタモツ」が発する言葉になるまで何度も何度も読み続けるという感じです。昨年初めて全編英語劇に挑戦した時は、丸呑みしていたような状態だったのですが、今年は「この単語はどういう意味?」「この言葉の並びは言いやすい」といった疑問や感想が出ているので、一歩踏み込んだ本読みが続いています。

次回のアップデートでは、立ち稽古(実際はほぼ全編座っているのですが・・・)の様子をお届けできるかと思います。

そして、舞台で大切な役目を果たしてくるセット・照明・音響・小道具・衣装については、このプロジェクトが走り出してすぐの段階で大方確定していました。

プロジェクトページでご覧いただけますプロモーション映像は限りなく本番に近い画です。衣装・小道具はそのまま、デスクは昨年同じくエディンバラで発表した「NEWS JUNKIE」で使用したもの、椅子は劇場のあり物を使わせていただきます。

セットはなし、照明もスタートに明かりが点いて、エンディングで暗転するというほぼキューなしのシンプルなものです。

音響だけ、ギリギリまで調整点がありそうですが、小道具として使われるMacから音を出す予定です。

これは、各国からくるアートディレクターへの売り込みでもいつも伝えているのですが、私たちの発表する物語は最近の演劇界でよく聞く「ポータビリティーの高い作品」と言えます。

簡単に言うと、上演する場所を選ばない作品です。もちろんベストな環境はありますが、どんなところにも必ず1セットはある机と椅子さえお借りできれば、今回の”complex”は上演できます。

劇場空間は、日常のいたるところに溢れているというのは、エディンバラが毎年証明していると思いますし、演劇をもっと身近なものにする為にも、このポータビリティーは大きな意味をもつと私たちは信じています。

という感じで、”complex”は着々と3次元になってきています。どうも言葉だらけのアップデートが続いてしまっているので、こちらももっと3次元にしていきたいと思います。

心身ともに消耗が激しい時期に入ってきていますが、「楽しむ」余裕を忘れずに毎日”complex”と向き合っています。どうか引き続きご支援をお願いします。

最後に会期中のエディンバラの一コマ(エディンバラフェスティバルフリンジ事務局が公式に公開しているものです)を。

メインの通りでは、このような大道芸をたくさん目にします。よくご覧いただくと、8月のエディンバラの気候がどんなものかお察しいただけるかと・・・。