コレクターズアップデートvol.4

6月になりました。4回目のアップデートです。

皆さまのお心遣いもあり、ありがたいことにこのプロジェクトについて興味をもってくださる方からお声掛けいただくようになりました。本当にありがたいです。

さて、前回は作品についてご紹介させていただきましたが、今回は「全編英語劇」についてお話したいと思います。

海外で作品を発表するアーティストはたくさんいる中、「全編英語の独り芝居を海外で発表する」となると、同じ業界にいる方からも驚かれることが多々あります。それだけ稀な挑戦をしているということなのでしょうか。

日本で劇作家・演出家として、30本近い数の作品を創り出してきた石曽根に、日本での公演を要望する声もありがたいことに多くいただく中、あえて海外での公演にこだわって活動を開始したのがMY COMPLEXです。

日本で生まれた物語の繊細さや奥深さといった特徴は、世界に通用するものだと私たちは信じており、その想いはこのプロジェクトのタイトルにも込められています。

特に、石曽根が紡ぐ物語は、観てくださる方の想像力が必要で、観終わった後にまた次のエピソードが始まるような感覚を呼び起こすものです。そして描かれるテーマは、文化背景等を問わず共感される普遍的なもの。

じゃあ、字幕をつけて日本語で上演しても問題ないのでは?となるんですが、そう簡単なものでもないんです。

私は同時通訳・字幕は劇場空間の妨げになると考えています。舞台上の人間から発された言葉が直接観てくださっている方に入り理解される、という日常の「会話」で発生している流れを大切にしたいというのが一番です。

現段階では英語圏の国での発表を第一段階と考えているので、迷うことなく英語での上演を私たちは選択しました。

 

ここで挙がってくるのが、結局は「翻訳劇」ということになるのでは?ということです。MY COMPLEXの物語は、まず石曽根が日本語で書き、私が英訳をつけています。

ただ通常の翻訳作業とは全く異なる過程で作業をしているので、「翻訳劇」ではないと断言できます。

私は、いわゆる「翻訳」の仕事もしていますが、そこで行う作業は「意味を伝える」ことが主軸で、あとは文法的不備がないように文章を作ります。

一方、石曽根の物語に携わるときは、構想の段階から話をすり合わせ、まず何よりもキャラクターが英語を話す日本人であることがリアルになるような設定になっています。

物語が創られていく最中も一緒にイメージを創っていき、準備ノートとしてキャラクターの性格等に合わせて、語調や使う単語の種類を用意し、石曽根と共有していきます。

この作業は、シェイクスピアやチェーホフとはできません。

そういう流れを経て「もうこの部分は固まった」と石曽根が感じた部分から順に訳をつけていきます。

訳をつけたあとも、何度もすり合わせを行い、稽古をしていく中で表現を変えたり言葉を変えたりという、日本語で作品を創る流れと全く同じ流れで精度を上げていきます。

こんな感じで、もしくはラップトップを並べて物語創りが進むこともあります。

前回のアップデートで、次回分が更新される頃には物語は書き上がっている予定でしたが・・・。しっかりとその姿は見えてはいるのですが、まだ最後の産みの苦しみというところにいます。

「complex」はとてもシンプルな設定の物語です。

ビデオ面接というワンシチュエーションで、面接ですから立ち上がって動き回るようなこともないと思われます。となると、そこで発される言葉はとても重要になってきます。

私の中で、石曽根が演じる「男」の口調が定まっているので、後は話す言葉を用意すれば上手く話し始めてくれると思います。

MY COMPLEXといえば、といった物語ジャンルができれば嬉しいなと思います。扱っているものは、誰しもが経験したことがあるような何気ないものですが、誰もやったことがないような形で表現し続けたいと日々挑んでいます。

明日6月4日は、エディンバラフェスティバルフリンジのプログラム冊子の配布開始日です。私たちの手元にも届くことになっていますので、近々この場でお見せしたいと思います。

引き続き、ご支援のほど宜しくお願い致します。