コレクターズアップデートvol.18

18回目のコレクターズアップデートです。ただいまエディンバラは16日の夕方。昨年と比べると天気は嘘のようにいいのですが、やっぱり朝夕は寒いです。

先日公演数を折り返し、本日16日は休演日。とはいえのんびりは出来ず、来年に向けての傾向と対策をしたり、チラシにレビューの文言を貼ったり(下の写真のチラシみたいに)と事務作業に1日を費やします。

 

 

写真は様々な劇場のプログラム冊子。このように各劇場が自分のところでやる団体を紹介し宣伝するためにパンフレットを作っているんです。もちろん今回僕たちがやっているtheSPACEUKという劇場のパンフもあります。

上の写真にあげたような劇場はどこも多数の作品を抱える有名劇場でパンフレットといっても、ほぼ雑誌ぐらいの厚さがあり、かなり読み応えがあります。これらは非常によく作られていて、各団体の特色や時間ごとに観やすいような上演タイムテーブルなどが載っており、観客が自分の劇場で上演される数百もの作品の中からどれを選んだらいいのかがわかるようになっているのです。

と、同時にアーティストにとっては今後の上演劇場を決める大きな手立てになるのです。というのもこのパンフレットの作りが各カンパニーの色と重なることがとても重要だからです。コメディーが強い劇場、シアターが8割を占める劇場、音楽系に強い劇場、アートに力を入れている劇場など、各会場にはアートディレクターが付いており劇場の方針を定めている為、ミュージカル劇団がコメディに強い劇場でやってその魅力が半減してしまうようなことが起こるのです。

当然、劇場側もそれらに注意してカンパニーの選定をしているのですが、毎年数千団体が参加する巨大フェスティバルでは劇場側も応募を捌くので精一杯なので、カンパニー側が劇場の色を見分けなければならないのです。

また、各劇場にはメディアパートナーとして新聞やWEB批評サイトなどのジャーナリストが付いており、イギリスの有力紙などは力のある劇場と組んでいることが多く、それなりのメディアはやはりそれなりの劇場にしか付いていないという・・・。

つまり、劇場選びの段階から既に作品の「売り」が始まっており、それが既に前年度から水面下で行われているということを今年参加して実感しました。昨年は参加することに必死だったので・・・。そんな情報をもらえるのがフリンジ事務局が開催しているワークショップ。

世界中から集められた演劇関係者やメディア、批評家、プロデューサーなどをスピーカーとして招き、カンパニーに合った講義を開いてくれるのです。

 

 

毎日、数十種類の講義が入れ替わり立ち替わり開催されており、自分に合った講義に参加するシステムで、先日僕たちが参加したのは「Get your show seen by the right people」

日本語で言うと「自分の作品を観てもらうべき相手に観てもらうには」といった感じ。どういうことかというと、観てもらうべき相手=お客さん(一般の観客)ではなくて、世界中のインダストリー(劇場産業の人々)に売り込むにはどのような手立てがあるのかを話し合いましょう・・・という講座。これも結局は劇場の色と一緒で「あなたの作品はアート系なのに、エンターテインメント系の関係者に宣伝してもダメでしょ?」ってこと。

ちなみに講座には「Sanctuary(楽園)」って名前の講義もあって、これは「とにかくみんなつかれているだろうから、事務局の僕らと一緒に頭を一回空っぽにしようよ!」っていう講座らしい・・・。「なんだその講座は・・・」って思ったけど、1ヶ月もの間、俳優も制作も死に物狂いで公演を回している訳で確かに理には叶っている。やっぱり世界中の舞台人も精神的に疲弊しているだなぁと・・・。

で、話しを戻すと、今回はNYを拠点にするプロデューサーが事例を交えて話しをし、それに対して参加者が様々な質問や疑問を投げかけるといった感じ。参観者もヨーロッパのカンパニーはもちろん、アジア、アメリカ、アフリカなどすべての大陸のカンパニーが顔を揃えている。

こういったことは日本の演劇界ではほぼ皆無なので、非常に参考になったし有意義な時間。残念なことに他の日本のカンパニー(ほとんど太鼓やダンス系だけど)は参加してこない・・・。こういった活動が僕たちの来年以降の活動に効いてくるはず。

 

 

(本番前、会場ホテルの裏口で念を唱える様子)

さて、明日から後半1週間が始まります。何が起こるかわからないエディンバラ。いいことが起きますように・・・。