TENT vol.8 「Word of Mouth」

「TENT」にご支援頂きありがとうございます。

今日で全22公演中16公演が終了し、また新しいカウントダウンを始めるまでわずかとなりました。

現地入りしてから、毎日独りで客前に立ち続けている石曽根の目線で、私たちの毎日の戦いをお届けしておりますが、今回は観客と同じ目線で毎日作品を観ているプロデューサー目線でこのfringe-yな日々をお話させていただきます。

観客席の隅(Stage Right / 下手)にあるオペレーションボード(オペ卓)の風景。ここから見える風景は、毎日変化しています。

というのも、fringeで発表される多くの作品がそうであるように、「TENT」も観客との距離が近いというよりかないに等しい空間で上演しているので、回ごとの観客によって、空気感や肌触りの異なる物語になっています。

舞台は映画とは違い、やり直しのきかない瞬間芸術。どんな不測の事態が起きようとも、一度幕が開くと、あとは前に進むのみ、Show must go onです。

そんな瞬間芸術である舞台を「評価」するというのは、本当に難しいことであり、それを公に発表するというのはとてつもない行為だと思います。その「評価(批評)」は、fringeではとんでもない力をもっています。

いわゆる「5 starts(五つ星)」を影響力のある媒体からとった途端に、Full-house(満席・完売)になる、というのがfringe。

じゃあ、「Review / 評価(批評)」には何が書いてあるのか。もちろん、おもしろかったー、楽しかったーってなことが書いてあるわけでもなく…

一般的な形式は、
1. 作品紹介
2. 筆者が一番注視した場面の説明・紹介
3. 評価(秀逸だった点・改善を必要とする点など)
4. まとめ(薦めるのであれば、その理由など)

端的に、作品が丸裸にされます。ネタバレするほど細部まではもちろん書かれませんが、その作品の軸や見せ方、雰囲気は紹介されるので、観客や演劇業界人(フェスティバルディレクター・劇場ディレクターなど)はどの作品を選ぶかという局面で大切な判断材料にしています。

媒体によって、若干の評価(星の数)のブレはあるものの、指摘されるポイントは統一されていて、その分説得力があり、学びだらけです。自分の作品の批評はもちろん、他のカンパニーの作品の批評を読み、分析するのもとてもいい勉強になっています。

個人的な感覚ですが、日本の劇評にはこの「学び」が得られません。批評家の好みやその時のトレンドなどしか書かれておらず、「宣伝」の域を越えていないような気がします。こういう点も、私たちが日本では作品発表しない理由のひとつなのかもしれません。。

話は戻って…

世界最大のフェスティバル、3000以上の作品が上演されているといえども、ネットワークでいうととても密で狭い世界、プロ・観客双方にとって「批評=Word of Mouth(口コミ)」が作品の運命を決めているようなものです。

この写真の「Review Board」は劇場のBox office(チケット売り場)の真横にあり、観客はこの情報を踏まえてチケットを買うという流れになっています。

評価されるために作品を創っているわけでも、発表しているわけでもないのですが、観る側からの率直な意見・感想を受けるというのは、芸術を創り手の自己満足から表現+交流へ転化させてくれると私たちは考えています。

今年のReviewでも、指摘された点はもちろんあるのですが、それよりも「Potential(見込みがある)」や「Talented(才能のある)」という形容詞を多く見ることができているので、おごることなく、この先の作品創りに活かしていきたいと思います。

まだReviewers(批評家)が入る予定が残っているので、全公演が終わってから、総括としてTENTのReveiwsを紹介させていただきます。

残り5公演、毎公演を最初で最後と思って、TENTの世界観をたくさんの方に届けてきます。
TENTは確実に世界各国の方々に「日本の今」を生々しく伝えています。

いよいよ最終週。
まだまだWord of Mouthの威力を体感するチャンスが転がっています。